旧香川県立体育館再生に向けた検討素案(PDF形式)
旧香川県立体育館再生委員会(2025/7/23)
Press Conference Regarding Formal Announcement on Acquisition(PDF : 3.1MB),
Preservation, and Utilization of the Former Kagawa Prefectural Gymnasium
(23 July 2025)
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1.サマリー
香川県立体育館の再生活用に関する新たな提案について
要旨:香川県立体育館(丹下健三設計)は、老朽化と耐震不足を理由に解体が議決されているが、国内外からその文化的価値を再評価する動きが高まっている。今回、民間より自己資金による全額改修・保存・宿泊施設等としての利活用の提案が示され、過去の前提(県費負担前提)とは異なる現実的かつ持続可能な再生活用の道が見えてきている。
提案の骨子
民間が全額費用負担で耐震改修・意匠保存・宿泊施設等への転用・再生
土地・建物を県から取得:土地は県からの売却等、建物は譲渡(簿価ゼロのため無償または低額)を想定
期待される効果
雇用創出・観光促進・文化資産の継承による地域振興
歴史的建築の保存と収益性の両立
解体費用等の県財政負担が不要(解体費用約11億円の支出不要)
要望事項
解体判断の前提条件が変化している
「費用をかけずに文化財を残す」選択肢として、解体延期を検討していただきたい
2.背景・現状の再確認
3回の入札不調による耐震改修の断念、民間活用のサウンディング不調により、閉館から10年経過
2012年7月 | 耐震調査をしたところ、天井板が落下する危険性が判明 |
|---|---|
2014年7月 | 耐震改修工事の入札が不調に終わり、改修を断念 |
2014年9月 | 体育館の閉館 |
2020年7月 | 閉館後、様々な有効活用策が検討されたが、具体的な計画には至らなかった |
2023年2月 | 県が解体方針を決定 |
2025年2月 | 解体に関する議決決定。12億円の予算を計上(調査費等含) |
2025年8月頃 | 解体工事の入札が行われる予定 |
活用策も提示出来ないことから解体せざる得ない状況となった
解体の議決に至った経緯
耐震不足
3回の入札不調
サウンディング不調
現在の建物の状況と課題
耐震性
老朽度
用途なし

3.建築の価値と文化的意義
丹下健三設計の名建築として、将来世界遺産になりうる存在
世界からも保存の声が多数寄せられている
当時の最高峰:建築家・丹下健三設計による体育館で国際的価値が認められている
家具デザイン:剣持勇、石庭:山本忠司&和泉正敏
当時の日本最高峰のデザイナーも携わっている貴重な総合芸術

技術と意匠の統合:当時の最先端技術と意匠が統合された作品である
日本の伝統的な船の意匠とモダニズム建築の構造合理性を融合した建築であり、丹下の思想が結晶化された貴重な実験作
保存の声:国内外の世界的な権威ある組織から保存の声が多数寄せられている

4.判断の前提の変更
民間資金による耐震・再生に加え、新たに収益事業としての保存・再生案が提示されることで、解体方針時の条件から変更
これまでの前提⇒県による解体
県による耐震改修が困難
民間による活用案の不調
保存のために公費が必要
新たな前提⇒民間による再生
民間が全額自己資金で耐震・再生する意向
収益事業(宿泊施設等)としての具体案の提示
県は費用をかけずに保存可能

5.民間による再生案
香川県上位計画や近年の動向を踏まえ、高松の新たな文化起点&地域交流を促進する宿泊施設等を整備
上位計画:観光・文化芸術による街の活性化
課題:瀬戸内国際芸術祭非開催年の誘客
ポテンシャル:建築家丹下健三による近代建築
アートと建築を融合した観光集客の交流拠点に活用
広場を開放し地域住民との交流を促進する場に活用
各界で実績のあるプレイヤーに声掛けをし、すでに複数の企業が参画を検討民間100%で、文化的価値を残しながら宿泊施設を中心とした収益施設へ再生
参考)民間による再生案のスキーム図

案① ブックラウンジ併設ホテル案
観光客と県民を対象とした、宿泊・知・文化・建築を融合した複合施設
– 1,2階の低層部に、ライフスタイルホテル
–3階以上の大空間に、本が敷き詰められたブックラウンジ・カフェ、アートスペースを整備
※)今後の詳細検討により変更となる可能性があります。


案② 1棟ホテル案
主に、インバウンドを対象とした、1棟宿泊施設への転用案
新たに床を張り、屋上を開けることで、豊かな内部空間を創出し、 余白部分に“ここならでは”の風景を演出
– 1階は、バックヤード、レストラン、ロビー
– 2階以上に複数の大きさの宿泊部屋 – 大きく建物中央部を開け、光庭を整備することで、新たな余白空間を創出
※)今後の詳細検討により変更となる可能性があります。


参考)事業性の確認
事業性の確認:事業規模が小さい案①であっても、約1億円の営業利益が見込めるため、民間事業者としても事業参画並びに事業の継続性を判断可能な一定の水準

参考)保存ではなく「再生」を目指す理由
お金を生み出さない保存ではなく、文化的価値を損ねない形で建築物を事業として“再生”することで、永続性を担保

再生技術は、建築家青木茂によるリファイニング建築を活用
リファイニング建築とは青木建築工房独自の再生技術です。
リファイニング建築とは建築家の青木茂により提唱された再生建築の手法です。約25 年をかけて 発展させた独自の技術や実績の内容は、下記の5 原則に集約されます。近年になって再生建築が社会的に 注目されるようになり、現在では国土交通省や文部科学省でも建築物の長寿命化が推進されております。
内外観ともに新築と同等以上の仕上がり
新築の60〜70%の予算
用途変更が可能
耐震補強により現行法規及び耐震改修促進法に適合させる
廃材をほとんど出さず環境にやさしい

参考)耐震改修の考え方
民間転用と技術進化により、合理的な耐震設計が可能となり、耐震改修費が減額
これまでの考え方(2014年) 耐震改修費:18億円
新たな考え方(2025年) 耐震改修費:6~10億円
![これまでの考え方(2014年) 耐震改修費:18億円 新たな考え方(2025年) 耐震改修費: 6~10億円1 21 参考)耐震改修の考え方 民間転用と技術進化により、合理的な耐震設計が可能となり、耐震改修費が減額 – 耐震等級Ⅲレベル2の耐力壁が 必要(避難所扱い) – ※IS値≒0.8相当 – 重厚故の荷重がかかるため、 液状化の可能性あり – ※重力加速度≧400GAL 耐 力 壁 地 盤 求 め ら れ る 性 能 (公 共 建 築 ) – 当時の技術では、効果的な方法 がなく、難易度の高い工事が 求められた 吊 屋 根 解 決 技 術– 2次元解析では力の流れが読み づらく、安全側に設計されやすい 耐 震 性 – 耐震等級Ⅰ~Ⅱレベル2の耐力 壁が必要(非避難所扱い) – ※IS値≧0.54 – 重厚な耐力壁が不必要なため、 液状化の可能性低い – ※重力加速度≧200GAL3 耐 力 壁 地 盤 求 め ら れ る 性 能 (民 間 建 築 ) – 炭素繊維の二重被膜のみで 補強可能 – 3次元解析により耐力壁を最適 化し、耐震性とコストを両立 吊 屋 根 解 決 技 術耐 震 性 注1)内部調査を実施出来ていないため、コンクリートの劣化等は今後詳細に検討。また、用途によって必要荷重が異なるため、今後の詳細検討により変更の可能性があります 注2)[耐震等級1]は、数百年に一度発生する地震(震度6から震度7)の地震力に対して倒壊・崩壊しない、[耐震等級2]は等級1の地震力の1.25倍の地震に対応可能、[耐震等級3]は等級1の地震力の1.5倍の地震に対応可能な強度 注3)南海トラフ地震による震度予想は、高松市内で震度6弱であるため、震度6弱相当の200GALを重力加速度として想定](https://storage.googleapis.com/studio-cms-assets/projects/v7qGdKRbaL/s-2140x930_v-frms_webp_b238554f-a538-4491-8216-7c9fcbfe542b.jpg)
建築文化継承の課題は、老朽化の他に経済的な事情によるところが多数を占めるため、文化庁ではこれまでの“保存”に加え、“再生” を選ぶ建築物に対しても経済的支援が出来るよう動き始めている。

6.想定される効果(経済・地域振興)
宿泊施設等の利活用による経済効果は、初期投資に30億円超、年間経済規模で5億円程であり、高松の活況に一定寄与
経済効果試算
初期投資:30~60億円 耐震改修費、用途変更に伴うハード・ソフト整備を含む
年間経済規模:3~7億円 年間事業収支、雇用創出、観光客による地域支出等を含む
注1)事業収支は、案①②が前提。観光客による地域支出は、宿泊者である約1~3万人の人が街中で1万円の飲食・移動・物販購入をするものと想定して試算
※)上記の数値や条件設定は、今後の詳細検討により変更となる可能性があります。

長期では、周辺文化資源との回遊性を高めることで、県のブランド価値向上に寄与

7.土地・建物の取り扱いに関する案
民間で土地・建物の取得を想定。土地は有償譲渡(売却)、建物は譲渡(無償または低額)とするスキームが適しているのではと思料
土地は有償譲渡
土地は引き続き有用な資産であり、自由度と経済的価値が高いため有償譲渡が適正
公的財産の処分として、財産評価の原則(実質的価値)に即している
建物は無償譲渡
建物の帳簿価額が0円であり、資産価値が既に償却済み
建物は耐震基準を満たさず、現状では使用不可であり、譲渡を受けた民間が全額改修費を負担する
県負担は0円
県は財政的負担を一切負わず、文化的建築の保存と地域経済の活性化を同時に達成(解体費11億円の支出も不要)
※)上記の内容は、今後の詳細検討により変更となる可能性があります。

8.耐震に関する想定スケジュール
現解体工事完了予定の2027年度までに耐震補強工事は完了並行して再生に向けた事業化を推進

9.香川県への要望事項
解体判断の前提条件が変わったことをご理解いただきたい
費用をかけずに「香川の遺産」を守る道を再検討していただきたい
次世代に残す価値ある選択として、再生・活用を選んでいただきたい
旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見
主催:旧香川県立体育館再生委員会
日時:2025年7月23日(水)11時00分~12時00分(受付開始:10時30分)
場所:ホテル パールガーデン新館6F インペリアル(香川県高松市福岡町2丁目2-1)
内容:
旧香川県立体育館の取得を目指した正式表明に関するご報告
今後の事業コンセプトおよび活用計画のご説明
文化芸術・教育機関から寄せられた旧県立体育館の保存嘆願書の公開
質疑応答
【オンライン配信について】 Youtube : @TheAxisKagawa

【当日のスライドデータ】 Google Drive よりダウンロードできます。

■メディアの方々へのお願い
今回の提案内容については、これまで香川県並びに教育委員会の方々が慎重に検討してきた内容を否定するものではございません。閉館から10年を超える期間の中で多くの議論が重ねられ、その結果として解体という決定に至ったことを私たちも理解しております。再生の道が開かれた際には、香川県とともに、県民や社会にとって価値ある遺産を後世に残すことを目指して取り組んでいきたいと強く願っております。この点について、深いご理解を賜りますようお願い申し上げ、ご配慮いただけますと幸いです。
【協力】JCD 四国支部・JIA 四国支部・香川県建築士 の有志の方々