旧香川県立体育館の耐震性能評価をめぐり、専門委員が再質問 - プレスリリース 20261013

旧香川県立体育館の耐震性能評価をめぐり、専門委員が再質問

基礎回転の評価や外周壁の扱いなど、構造診断の根拠について確認を求める

旧香川県立体育館(船の体育館)の耐震性能評価をめぐり、専門委員が被告準備書面(5)に対する再質問事項を提示しました。今回の再質問では、2013年(平成25年)の耐震診断について、基礎の回転や杭の引き抜きを考慮した際の靭性指標F値の評価、船形状の外周壁を耐震要素として算入しなかった理由、大柱の変形性能に関する判断など、構造評価の妥当性に関わる複数の論点が示されています。また、構造設計を手がけた株式会社丹下都市建築設計の関係者に確認したうえで回答することも求めています。旧香川県立体育館の再生可能性を検討するうえで、耐震性能の評価根拠や構造設計上の判断を、専門的な見地から改めて確認することが重要です。今回の再質問は、建物の構造的な特性と耐震診断の評価方法について、より具体的な説明を求めるものです。

専門委員からの被告準備書面(5)に対する再質問事項 前回期日で専門委員から発言のあった内容は次のとおりです。 平成25年耐震診断では、最初に主柱の杭の引き抜きおよび大柱の基礎回転を考慮しない2次診断で崩壊系を評価し、圧縮力を受ける側の大柱をF=0.8(脆性的なせん断破壊)、 引張側を受ける側の大柱をF=1.0(曲げ降伏先行)にてせん断耐力および靭性指標F値を評価したものと思われます。その後、より低い水平耐力で杭の引き抜き及び大柱の回転が生じることが判明したため、大柱については杭の引き抜き及び基礎回転を考慮する3次診断を適用し、せん断耐力及び靭性指標F値を評価し直したものと理解します。その際、せん断耐力については、杭の引き抜きおよび基礎回転が生ずるより低いせん断耐力が耐震性能評価プログラムに直接入力されていますが、靭性指標F値は元のまま(0.8及び1.0)になっています。崩壊系がせん断破壊から基礎回転に変更されたため、靭性指標F値も更新する必要があると考えられます。なお、平成25年耐震診断の基準となっている「既存鉄筋コンクリート建造物の耐震診断基準・同解説:日本建築防災協会」では、杭の引き抜きおよび基礎回転が生ずる回転壁・柱の靭性指標F値は基礎回転が生じた時点でのせん断耐力・曲げ耐力の余裕度に基づき、F=1.0~3.0の値を取ることとされています(3.2.3節(4)(a))。 本建物の台形状の大柱は基礎回転における変形性能は十分に見込める形状と思われます。なぜ「特殊な形状により通常の柱に比べ変形能力を見込めない」という判断に至ったのでしょうか。 中2階の長手方向のせん断耐力に船形状の外周壁を算入しなかった理由として「湾曲した縁梁の柱スラブとの取り合い」「設計図書に記載されていない開口」「施工不良」を挙げられています。外周壁と中2階床~2階床は多くの構造要素で接続され一体化されていると思われますが、なぜ耐震要素として評価できないのでしょうか。また、どのような開口、施工不良があったのでしょうか。 被告準備書面⑸においては、「本建物の構造設計を熟知している株式会社丹下都市建築設計において、地震時の力の働き方や部材の変形能力を十分に検討・精査した上で、上記の判断をしたものと考えます。」と回答されています。書面作成にあたり、株式会社丹下都市建築設計関係者の意見はご確認されたのでしょうか。 上記の再質問への回答に当たっては、可能であれば、同社関係者に確認をいただければ幸いです。 (被告準備書面⑸に対する参考意見)*回答は不要です。 本建物の解体にあたっては、張り出し部のRC床、張り出し部の吊屋根を先行して解体する説明図となっていますが、これらはそれぞれ張り出し部の構造及び屋根を支える主要部であり、先行解体することで建物の全体または一部が不安定な状態又は崩壊に至らないか、慎重に施工時解析を行い検討する必要があるように感じます。

旧香川県立体育館再生委員会 委員長 長田慶太
2026年10月13日

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