旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見
(2025年7月23日)
記者会見の質疑応答より一部抜粋
Q:委員会が旧体育館を取得して事業を始める場合は、どのように再生を進められる予定ですか。
A:県から取得するということですが、民間が取得することになると、必ずプロセスが発生すると思っています。事業者選定に、何かしらプロポーザルがあると思っています。そういったプロポーザルがあれば、我々のチームで参加と提案をさせていただきたいと思っております。
仮に土地を取得することになれば、チームで基本的には取得すると思っております。県側とも色々と協議をしながら進むことになると推測しておりますが、我々に任せていただければ、必ず良いようにできると確信しております。
公表できていない企業の中にも買い取りのサポートができる企業もありますし、いろいろ集まってSPC(Special Purpose Company/特別目的会社)という形ももちろんあると思います。協議が始まると、明確に公表できる企業も出てきます。まずは協議の場に県が対応してくれること、それを僕らは今目指しています。
Q:委員会から事業者に今後変更するということもあるという理解でよろしいでしょうか。
A:はい
Q:モダニズム建築の保存という点で伺いたいのですが、文化庁が一昨年、建築文化に関する検討会議という資料をまとめていまして、そこで地方の場合ですと少子化とか人口減少で建築の継承や継続がなかなか盛り上がりにくい側面があると指摘していました。そういった中で、今回のこの提案、香川からの提案というのは、一石を投じるものになれるのでしょうか。どうお考えでしょうか。
A:支援チームメンバーに後藤治氏(工学院大学総合研究所教授・文化庁文化審議会文化経済会建築文化ワーキンググループ臨時委員)という教授がおられます。文化庁にも、民間活用に移して、民間の運用の中で重要文化財を目指していく新しい検討委員会があります。後藤さんからは、今回を日本初のモデルケースにできるのではないかというご意見をいただいていますので、かなり明確な可能性として、文化財化を視野に入れていただいていると思います。文化財にすると、この先、この建物は非常に残りやすいと思いますし、100年先まで残していくためにも非常に重要なスキームだと思います。
Q:今、重文(重要文化財)という言葉が出たと思うのですが、香川県内でいうと、去年、瀬戸内海歴史民俗資料館が70年代の建物で初めての重文になりました。これが最新の重文ですが、県庁舎が50年代の重文で、今回のこの建物は60年代だと思いますけど、そういう意味でこの船の体育館が継承されるというのは香川県にとってどういう意味を持つとお考えでしょうか。
A:戦後から県庁舎東館、その間が飛んで歴史民俗資料館が重文化されました。やはり文化財の方々も間が抜けているという認識はあるようです。香川県のデザインが金子知事から始まり、モダニズムの連続の中で、これはちょうど間にあるものだと思っています。歴史をつなぐ意味でも、これが残っていることの重要性は、非常に大きなものだと思っています。
Q:申し入れを受けて、県から返答はこれまでにあったのでしょうか。
A:定例会見の内容だけで、正式な回答はないです。
Q:買い取った場合、買い取り費用、耐震の費用、最終的にかかる費用というのが先ほどの30 億円と思えばいいでしょうか。
A:はい。
Q:ホテル事業での再生を考えていらっしゃると思うのですが、委員長としては、この建物が県民にとってどういう建物、どういう存在になればいいと思われますか。
A:これだけの情熱を持って建物は今つくられていないです。(今は)三次元CADもありますし、コンピューターの発達で、これだけの熱量とか手を使っては僕らの時代では実現できない。だから、そういう人々の情熱とか、戦後間もない時代に、民主主義に憧れた県民と国民の想いが、ものづくりに詰まっていると僕は思っています。それを後世に伝えていければ、日本の歴史としてつないでいく意味が、こういう建物を残すこと自体に存在するのではないかと僕は考えています。
Q:ホテルとして形を変えて再生させようとされていますが、そうなった時に、県民にとってどういう存在、どういう場所であろうと思われますか。
A:公共的にみんなが利用できる用途も組み込んでいきたいと思います。そうすることで、ここに来て建物に触れるチャンスも増えます。かといって、それだけでは事業性とか採算性で、建物が続いていかないという現状もあると思いますので、ホテルとして、インバウンドとか旅行者を受け入れながらも利用でき、その両者が混じり合うような交流施設になればなというふうに思っています。
Q:マイナスなお話をさせていただこうかと思うのですが、純粋に保存、鑑賞料を取って保存していく形ではなく、ホテルという事業でランニングさせていきながら費用を賄っていくということで、仮にその採算ベースでうまく賄えなかった場合はどうなるのでしょうか。
A:我々が今試算している中では、必ずできると考えております。事業者さん、それから不動産ファンドの方々にも数字の検証はしていただいていますので、そこは問題ないと思っております。
Q:以前、長田さんがお話しした中で印象的だったのが、この体育館について、保存したい人と解体したい人がいるのではなくて、保存したい人と無関心な人がいるということをおっしゃられていた。僕はこの10年間、ずっと熱心に活動されていた別の団体の活動に敬意を表する一方で、やはりどうしても県民的な盛り上がりにはつながらなかったと思っています。今回、長田さんは税金の使い方という問題でもあるというふうにおっしゃられた。買い取りという形で、インパクトもある形で、県民にどのように考えてもらいたいのか、県民に向けたメッセージを改めていただきたいです。
A:先ほども言ったように、文化とか芸術とか、学術的なとか、感覚的な話に乗ろうとすると、どうしても今までの活動がそうであったように、民意に届き辛い。非常にネガティブな意見もあったり、残したいという気持ちが感情論に聞こえたり、そういう側面は必ずありました。今回、買い取りという方法を模索していく中で、私たちの税金の使い道として、11億円の解体費がいらなくなる。その大きな税金の使い方というものもきちんとここで県民に、もう一度、自分の足元としてこの建物を見てほしいです。
Q:県民の意見を世論調査のように、はかっていくようなことは考えていますか。
A:少し間を持って、世論調査をおこなっていこうと考えております。それを皆さんにリリースしようと思っています。県民の方がどのぐらいこれに興味を示しているのかを数値化することで、県の人たちもこれを残すことが、県民にとってどういうことなのかを分かってもらうという意味でも、世論調査をしていきます。
Q:昨日(7/22)知事は定例会見の中で、今回の提案に関して、まだ具体的な提案とは言えず、安全性の確保を急ぐためにも、予定通り解体の入札スケジュールに進んでいくつもりだと言っています。こういった形で提案をしたものの、協議のテーブルにつかずに、このまま解体の入札公告をするという可能性も高いかと思います。そうなった場合、例えば、入札公告をとめるための仮処分申請という選択肢は考えられるのか、そのあたりはいかがでしょうか。
A:せめて協議の場には一緒についてほしいと考えています。でも、この先何も動かないことがあれば、あらゆる可能性を含めて今も検討中です。
Q:先ほど、資料とともにご紹介いただいた初期投資額ですが、30から60億円という数字が出たと思うのですが、現時点での調達目処が立っているのでしょうか。30億で立っているのか60億まではいってないのか。その辺の感触みたいなものを知りたいです。委員会としての予算の規模感がはっきり出ることによって、県側の対応も変わってくるのではないかという印象を持つのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
A:目途は立っています。30億でも60億でも立っています。案によって事業の幅があるのですが、どちらの案であっても各事業者と、それから+αのファンドからの出資というところで、一旦、今の段階での試算としては目途が立っています。
具体性という意味では、観光の集客や地域活性化とかの空間の再活用は、トップランナーである乃村工藝社さんがついてくれています。そして建築再生の第一人者の青木さん(青木茂建築工房)がおられるというのは、非常に(事業実施の)具体性があると思ってもらえると思います。
Q:形としては出資と一部借り入れみたいな感じですか。
A:おっしゃる通りです。あと、建築費の高騰が今非常に話題になっていると思いますが、+αで掛かる部分は文化庁と経済的な支援も含めて協議をしっかりとしていけると、その部分の穴埋めには繋がるのではないかと思っております。文化庁が並走してくれるという話がもし実現すれば、相当心強いので、前向きに検討していきたいと思います。
Q:ホテルとしてスタートする時期はいつ頃ですか。
A:建物を無償譲渡か売却していただければ、そこから調査に入ります。調査は半年程を予定しています。それが終われば、基本設計、基本構想ができます。時期としては2026年度中には方針が固まると思います。そこからある程度工事をスタートできますので、実施設計をしながら耐震補強工事だけ先に進めれば、現在県が考えている解体終了時期までに補強工事は終わると考えます。
そして2028年から内装工事着手と記載しています。(スタート時期は)そこから1年~2年ぐらい先になるかと思っています。
Q:2028年度から1~ 2年先ほどの事業スタートになりますか。
A: 2029年度ぐらいに開業できる形かと思っています。
Q:青木さんはこれまでに多くの建築の再生に取り組まれていると思いますが、旧体育館の再生の難しさについて教えてください。
A:今我々が入手したデータからすると、それほどの難しさはないと考えています。液状化の見積は大変な部分はありましたが、おそらく今までの県の改修費用は過大に見ていたと思います。形は特殊なのですが、それほど心配はないかと思います。むしろ、今までの経験からすると、コンクリートの中性化で苦労する案件がありましたが、今回はコンクリートの中性化もあまり酷くなかったという事実もあります。屋根についても、炭素繊維シートの二重膜という方法が構造の有識者からの提案もありますし、液状化の問題も解析し、どの程度の震度で液状化が発生するかというデータも出ています。今回、耐震改修費用に6~10億円と書かせていただきましたが、ある程度の概算として見積に根拠があると考えてもらって間違いないと思います。
Q:用途変更を伴う建造物の再生事例として参考となる先行事例があれば、教えてください。
A:私の関わった例として、用途変更を伴う改修はこれまで多く手がけています。現在進行中のもので、劇場を図書館にする案件が奈良県であります。話が来ているものでは、古いクラシックな銀行をホテルにする相談が来ています。これまで、単純な保存ではく再生活用を100棟以上行ってきました。他事例だと、坂倉準三さんが設計された旧上野市庁舎がホテルと図書館へと再生された例(泊船 HAKUSEN)もあります。
Q:ホテルにするということですが、客数とか客単価の想定はこの資料の通りでよろしかったでしょうか。
A:はい、今のところはそう考えています。
Q:ホテルのコンセプトとして客層をハイクラスにするか、ミドルクラスにするか、そのような想定もしていますか。
A:案1と案2では想定している客層が異なっており、設定している価格も異なっています。案2では、インバウンドを対象としたアッパー層向けの価格帯になっています。一方で案1では、そこまで価格帯を上げておりません。
Q:今回、このタイミングで提案された理由について、もう一度教えていただけますか。
A:昨年6月に解体費用が10億を超えるという発表を受けてから、民間活用の道はないのかと感じて動きはじめました。乃村さんや青木さんにお声がけして、案として形にできたのがようやく今だったということです。一年かかったということでした。
Q:一年かかった理由として、大きな要因があるのでしょうか。
A:我々の手元に資料が入ったのが今年の2月の3月になり、そこから一気に案を詰めていきました。チームが形作られるまでに時間が掛かりました。人がつながっていって、形になって、きちんと解析から始まって、収支までいくという、その前段階が非常に大変で、時間を要しました。つくった案を知り合いのファンドの会社などに伝えたら、参画の手を挙げてくださった企業がいました。それで上手くいくと感じました。プランと耐震性と事業性がうまくリンクしたことで、進めていけました。
Q:公表されていない不動産ファンド等については、今後公表されていくのでしょうか。いつ頃でしょうか。
A:県との協議の場ではお話させて頂くことになると思いますが、対外的な公表については先になると思います。一点、事業性について補足しますと、今隣の敷地で高松競輪場再整備事業が進められていて、その施設と連携することで集客、誘客に関しては一体的にできるのではないかというふうに思っております。そういった意味でも、今のタイミングが再生整備に向けては良いタイミングではあるというふうにも考えております。芸術祭や、香川県に訪れる海外からのアートファンの伸びなど、香川の持っているポテンシャルもファンドがついてくれる要因になったと思います。
Q:市との連携も検討されているのですか。
A:市との連携ということではなく、構成企業との連携を考えています。
Q:知事が予定通り解体を進める意向を示した大きな理由として、地震に対しての安全性を早く確保したいと話をされていましたが、専門家からは旧体育館の安全性はどのように見ていますか。
A:液状化で傾くことは想定されますか、倒壊することはないと見ています。
Q:前面道路が緊急輸送道路に指定されているが、道路への影響はありますか。
A:傾くといっても、1mも傾くことはないです。傾くとしてもほんの数センチから十数センチ程度。逆に傾いて転倒し、道路に危険が及ぶという根拠があるのであれば、その根拠をお示しいただければ、工学的な見地を示してお返しできます。能登の地震でビルが倒れた例があったが、非常に稀なケースで、この建物があのような倒れ方をすることは無いと断言できます。
一時期、この建物が地震で折れて倒れるという理解が県民にされた時期があります。断言できるのはコンクリート製の建物で、プレストレスがかかっている建物で、大地震があったとしても折れて倒れるようなことは無いということです。そのイメージが先行してしまって、安全性が無いという話になってしまった。現状でもそのような危険性は無いと考えて間違いないと思います。
Q:これから協議のテーブルに県がついてもらう上で、何がカギになると思いますか。
A:県民の方が、今回のことを大事なこととして広めていってもらうことだと思います。また、かなりの投資が県外から行われます。(運営が始まれば)雇用にも役立つと思います。また、今回の改修に難しい技術はほとんどありません。地場の業者で十分対応できると思いますので、地元にお金が落ちる良い話だと思います。
そして、話題になることだと思います。お金の使い道、県有資産の扱い方、それが教育や文化につながっていき、インバウンドを受け入れるために県にとって必要なこととして変わっていくことを、みんなが想像できることがカギになると思います。
歴史的にモダニズム建築が迎えている苦難の道を、香川県は日本の中で先行して進んでいけると良いと思います。
旧香川県立体育館の買取等による保存及び利活用への正式表明に関する記者会見
主催:旧香川県立体育館再生委員会
日時:2025年7月23日(水)11時00分~12時00分(受付開始:10時30分)
場所:ホテル パールガーデン新館6F インペリアル(香川県高松市福岡町2丁目2-1)
内容:
旧香川県立体育館の取得を目指した正式表明に関するご報告
今後の事業コンセプトおよび活用計画のご説明
文化芸術・教育機関から寄せられた旧県立体育館の保存嘆願書の公開
質疑応答
【オンライン配信について】 Youtube : @TheAxisKagawa

【当日のスライドデータ】 Google Drive よりダウンロードできます。

■メディアの方々へのお願い
今回の提案内容については、これまで香川県並びに教育委員会の方々が慎重に検討してきた内容を否定するものではございません。閉館から10年を超える期間の中で多くの議論が重ねられ、その結果として解体という決定に至ったことを私たちも理解しております。再生の道が開かれた際には、香川県とともに、県民や社会にとって価値ある遺産を後世に残すことを目指して取り組んでいきたいと強く願っております。この点について、深いご理解を賜りますようお願い申し上げ、ご配慮いただけますと幸いです。